呪われた母の日
スーパーやショッピングモールの一角に併設されたお花屋さんによく立ち寄ります。
色とりどりの花が整然と並んだガラスケースを横目に、手に取るのは店先でバケツ売りされている、2~3本で1セットのお手ごろパック。
2~3セット仕入れてきては、玄関や卓上に飾るメインのブーケを作り、切り落とした小枝は小瓶に挿してトイレや洗面所などの水回りや床の間などのアクセントにしています。
総額1000円ちょっとの花束でも充分に華やかなオーラを放ってくれます。
元職場では、ワケアリで売り物にならない花を1本10円で購入することができました。
首に傷があったり、中心がつぶれたりしていても、こんなに綺麗に咲きます。
首に若干傷があったり、中心がちょっとつぶれているからと、「キズモノ」のレッテルを貼られて叩き売りされる花たちに複雑な思いを抱きつつ、職場では蕾の状態でしか見たことがなかった花の盛りを、自宅で目の当たりにしてはいたく感動しておりました。
花になど別段興味がなかった娘も生花業界に身を置くようになってからは他人事ではなくなったのか、気が付くと店頭で足を止めては四季折々の花や鉢植えや苗たちをまじまじと眺めています。
そして、
これ重いから嫌なんだよね、やけにロット数多いし。
とか、
これ最近よく見かけるけど売れるのかな?
とか、
母子で頭を突き合わせては、業者さながらの会話を繰り広げております。
スーパー産の薔薇はあたりハズレのふり幅が大きい故に、これは恐らく蕾のままで終わるだろうと思っていた薔薇が思いのほか綺麗に咲いたので、嬉しくて写真に納めようとしたところ、
奇跡のツーショットが。
例年にない早さで梅雨入りし、外は連日雨模様、屋内は湿度が高くムシムシするせいか、片頭痛と肩こりに苛まれたり、ひっきりなしに飲んでいるはずの漢方薬や鎮痛剤があまり効かなかったり、体調も気分も優れない日が続いておりました。
ここ一年ほどおとなしかった膝の痛みも何故かこのタイミングで再発。
このようなときは不運ホイホイになっていたりもするので、心静かに嵐が去るのを待つしかありません。
切り花が長持ちしないこれからの季節は涼し気なミニグリーンでも置こうかなどと思ってた矢先、母の日だからと夫がくれたカーネーションが玄関を彩っております。
日中は日の当たる場所に置いているのですが、ある日娘が唐突に
カーネーションって、もしかしてふたつある?
と不可解な問いを。
いつも娘が仕事に出てからリビングに移動させて、娘が帰宅する頃には定位置である玄関に戻していたので、休日の昼間にリビングに置いてあるカーネーションを見て、ふと思ったのだそうな。
どうせふたつ買うなら違う色にすればよかったのに、と。
その娘からは、終日形状をキープできるらしい優秀なマスカラ下地とエレガントなマスクケースを戴きました。
母の日などそっちのけの息子には、肩もみでもしてもらおうかしらと思いきや、数日前から右手首が痛むのだとかで整形外科を受診する羽目に。
どうやら、腱鞘炎の診断が下ったそうな。
同じ頃、肩甲骨のあたりが痛いとぼやいていた娘がポツリと、
実は…怖い動画を見てからなんだよね。
“ガチでヤバい。”
というコピーがつく類のものを立て続けに数本見てしまったそうな。
戦慄を共有した彼氏にも数々の災難が降りかかっているそうで、どうか夫と愛犬が無事でありますようにと、瞼の母に手を合わせた母の日でした。