犬嫌い
我が家のわんこは人間は好きなのに犬が苦手です。
犬なのに。
娘曰く、
社会化期失敗したなこりゃ。
わんこを飼うこと自体初めて故におっかなびっくり腫れものに触るように育ててしまったので、今思えば怖がらずにもっと外に連れ出して、たくさんのわんこに触れ合わせていればよかったと後悔しきりです。
要は飼い主のせいです。
犬は飼い主によく似るというように、私も正直言って犬が苦手でした。
犬に噛まれて以来ずっと。
子供の頃に住んでいたマンションの一階にあった喫茶店で飼われていたわんこでした。
犬種はたぶんヨークシャーテリアかヨクシャーテリアの血が色濃いミックス犬で名前はマルちゃん、性別は不明。
来客時の昼食や、母がとても疲れている時の夕食など、時折その喫茶店に食事をデリバリーしてもらっていたので、オーナー夫婦ともすっかり顔馴染みでした。
マルちゃんとは直接的な触れ合いこそなかったものの週に幾度かは顔を合わせていたので、馴染みとまではいかなくても怪しい者とは思われていないだろうという自負がありました。
今思えばそれはただの驕りでした。
私はナポリタンやらハンバーグやらと一緒に、昭和の王道スイーツ・クリームソーダをオーダーするのが慣例でした。
バニラアイスクリームの下のメロンソーダを濁さぬように、そろりそろりとアイス掬って食べるのが自分なりのこだわりでした。
なので、アイスとソーダを躊躇なくかき混ぜては、アイスクリームがのったソーダではなく、もはやクリーム味のソーダと化したクリームソーダをさも美味しそうに飲む弟を内心許せませんでした。
ならば初めからバニラアイスとメロンソーダ別々にオーダーすればいいのではと言われそうですが、クリームソーダじゃないと得られない達成感がそこにあったのです。
いつものようにデリバリーしてもらった食事を美味しく戴き、食器を返却に行ったときのことでした。
母と一緒にマンションの裏手へ周ると、勝手口をお掃除中のオーナーさんと鉢合わせに。
オーナーさんの足元に纏わりつくように、マルちゃんがウロウロしていました。
母が、ごちそうさまでしたと食器がのったトレイを差し出すと、あらあらわざわざすみませんねえと言わんばかりにマルちゃんがトコトコこちらへやってくるではないですか。
吠えるわけでもなく歯をむき出すわけでもなく、あまりにも普通に寄ってくるものですから、なんて人懐こいわんこなのだろうと身構えもせずに見ていると、母ではなく私の足元に来たマルちゃんは
カプッ。
いきなり脛に噛みついたのです。
その場にいた皆が呆気にとられました。
その後の記憶はおぼろげですが、私の脛にはくっきりとふたつのちいさな穴が開き、傷穴から一筋血が流れていたのは覚えています。
それ以来わんこからは逃げ歩く人生でした。
何度わんこに噛まれても、怖がったり嫌いになったりしない娘を尊敬します。
そういえば、息子も小学生の頃にわんこに噛まれた経験があります。
近所の友達の家に遊びに行った際に、その家の庭で飼われていた大型犬がいきなり背後からとびかかってきたそうです。
思いのほか傷が酷く、その時は病院のお世話になりました。
もともと口数の少ない息子はその後何も言いませんが、以来ずっと犬が怖かったのかもしれません。
ロージーが我が家にやってくるまでは。
そして、犬が嫌いだった私が犬嫌いの犬の世話に明け暮れていて、犬が苦手だった息子が犬嫌いな犬と寄り添い合ってまどろんでいる今日です。
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