はなちょん
私がダイニングテーブルに根を下ろして新聞を読んでいたり、ハートのお揚げじゃなかったことにガッカリしながらどん兵衛をすすっていたり、こっそりコンビニスイーツを頬張っていたりする時に、脛やふくらはぎに何かが触れたなと思えば、大抵はロージーの鼻先だったりします。
もはや私の玉座と化しているダイニングテーブル下はロージーの自宅警備の巡回コースにもなっているらしく、日に何度かウロウロとやってきては、遊ぼうと誘うわけでもなく、期待に目を輝かせてシッポをパタパタ振るわけでもなく、ただただボーっっとこちらを見上げていたりします。
そういう時のわんこの心の内をハイジさんに尋ねてみたくなってしまいますが、こちらも見返せばぷいっと踵を返していなくなってしまったり。
通りすがりにちょん、とやっていくだけだったり。
パトロールは終わりなのかと思えば
寝てたり。
先日は例の電気ひざ掛けの垂れ部分で寝ているのに気づかずに、うっかり足を払ってしまいました。
不意を突かれたときのすっとんきょうな顔はわんこも人間も同じだなと。
はなといえば、どことなくトルコキキョウの蕾を思わせるこのしっぽ。
トルコキキョウの花粉アレルギーだった母の枕花には何輪ものトルコ桔梗が挿してあり、さぞかし鼻がムズムズしただろうなと思ったことを思い出します。
最期の時くらい好きなものだけで埋め尽くしてあげたかったのですが、その最後まで正常性バイアスを打ち破ることができなかった継父に代わって弟は葬儀の手配に追われ、仕事と看病を両立しながら母を看取った妹は疲れきっていて、遠方の私はすぐに動くことができず、まさにオロオロバタバタといった状況の中、そういったことまで気が回りませんでした。
枕花をそれとなく遠ざけながら内心母に謝りつつ、納棺師さんが、お母さまが好きだったものならどんなものでもいれてあげてくださいと仰って下さったのが救いでした。
急いで弟が買いに走ってくれました。
母が大事に持っていた、宝箱の中身と共に棺に納めました。
弟が描いた絵や妹の胎毛とかと一緒に、何故か私が部屋で使用していたカーテン・タッセルまでありました。
終の棲家はここにと願っていた海辺の町に母は眠っています。
ウナギの遺骨と共に。
最近ますます密度が増して謎の花の蕾と化しているロージーのしっぽの先端ですが、
そろそろ何かが咲きそうです。
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